「アメリカ大陸縦断しようぜ！」

2013年大学2年生の時、この一言から大学の友人と三人で、アメリカ西海岸縦断旅行に向かうことになる。主導したのは私だった。1953年開業のサンフランシスコの超老舗書店「City Lights Bookstore」に行きたかったのだ（ヨセミテ、グランドキャニオン……ももちろん）。ただ、二人を説得するには、この一言が必要だった。

約2週間かけて、シアトルからサンフランシスコを経てラスベガスまで、ふらふらとアメリカ西海岸をさまよった。初めに降り立ったシアトルで、登山仲間でもあった私たちは、当たり前のようにアウトドアショップへ向かい、巨大なストアでこの一着に出会う。当時の私には高価でためらっていたが「めっちゃいいやん！ 似合ってるで！」と乗せられて購入した。

その一着は、初のアメリカ大陸でシアトルの冷雨、サンフランシスコの乾燥した風、グランドキャニオンでの日差しからも、私を守ってくれた。そして、ついにあのギンズバーグやケルアック、バロウズ、ゲーリー・スナイダーなど、敬愛する作家ゆかりの「City Lights Bookstore」にも一緒にたどり着いた。時は違えど、彼らと同じ空間に滞在し、少し彼らを近く感じることができた。

帰国後も登山やサイクリング、日常生活の風よけに、サッと羽織れる頼れる相棒としていつも愛用してきた。10年経った今も、ときどきあの青い旅を振り返る。サンフランシスコの陽光のもと、「City Lights Bookstore」を背景に、このアークテリクスのジャケットと共に満足げに微笑む私が今もいる。