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近藤 謙司/国際山岳ガイド
KENJI KONDOU
ALPHA COMP HOODY | 2004
目にしたとたんに「これは絶対にいい!」と直感し、ヨーロッパアルプスで使いまくったジャケット。2005年あたりから夏のヨーロッパには必ず持っていき、4シーズンはフルに使い込みました。ベースはソフトシェルで汗抜けがよく、雨で濡れる肩や腕の上側だけがゴアテックスだから、多少の雨や吹雪でも問題ない。今はゴアテックスと他社の生地が一緒に使われることはないでしょうが、当時よくこの発想や技術をゴアが認めたと思います。
あのころ日本では、ソフトシェルのよさがあまり受け入れられていなかったけれど、ヨーロッパでは当たり前のように着られていました。日本では雨が降っても山に行くから、ソフトシェルは、重くてかさばるし、雨が降ったら使えないものという位置づけ。ヨーロッパの人たちは、一日中雨が降るようなときは行動せず、多少降っても一時的なものだとわかっているから、ソフトシェルのありがたみがちゃんと理解されているんですよね。日本人みんなが感じていたソフトシェルに対する疑問や問題を、この一着が全部解決すると思いました。
色の組み合わせもすごく好きで、とにかく使いまくって、裾の圧着が全部剥がれてしまったので、おふくろに頼んで手縫いで直してもらいました。パンツもすごくよかったんですよね。今もこういうものがあったら、確実に大喜びすると思います。
MINUTEMAN SV JACKET | 2001
MIMUTEMAN BIB | 2001
まだバックパックしか日本に入ってなかったころから、面白いものを作るブランドだと、アークテリクスには注目していました。アパレルを扱うようになったというので金町のショップを見に行き、展示会に呼んでもらうようになって、初めて使ったのが「ミニッツマン」のジャケットとビブです。ちょうどアドベンチャーガイズでチョ・オユー(標高8188m)に行こうとしていたタイミングだったので、ヒマラヤに行けてバックカントリーにも使えるものとして選びました。当時、北海道のガイドが着ていた「サイドワインダー」を、恐ろしくカッコいいと思ったんだけれど、山では使いにくいと判断して選びませんでした。あの、ジッパーを曲げる技術は相当なものだと感心した覚えがあります。
当時、公募登山隊をチョ・オユーで始めるのには賛否両論あったけれど、お客さま全員で登頂することができました。その発展の始まり、きっかけになったのが、この「ミニッツマン」の上下。僕にとってとても意義深いものだと思っています。